実務編 Vol.3【派遣元事業主の欠格事由の追加】

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  平成24年6月25日 

 川相いい仕事マガジン 実務編 Vol.3
    発行:川相商事株式会社 『働く喜びを感じるヒト』創造企業
                        担当:中島 政孝

 ◆ テーマ : 改正派遣法に関する情報提供
   
    ★ 派遣元事業主の欠格事由の追加 ★
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いつもお世話になっております。
川相商事 大阪本社所属の 中島 政孝 です。

いよいよ夏本番となって参りました。
外回り営業が厳しい時期です。。。
ただ、社内も節電活動を実施しているので、どっちもどっちですが(T_T)

節電活動を実施しておられる企業様も多いようですが、
熱中症などにはくれぐれもご留意下さい。

さて、今号は、初刊vol.1でご紹介した「改正派遣法のポイント」の(2)についてです。
(「改正派遣法のポイント」は下部に掲載しています)

【派遣元事業主の欠格事由の追加】

あったり前のことを法文化しただけなんですが、
この欠格事由の追加によって、意外に影響を受ける派遣先・派遣元も多いと聞いております。
では、どのようなことが追加されたのでしょうか
(少々長いので、6)以降まで進んで頂いても結構です)

1)派遣事業の許可取り消しまたは廃止命令された者が法人である場合において、当該取消
   し等の原因となった事項あった当時現に当該法人の役員であった者で、当該取消し等の
   日から5年を経過しないもの
2)1)同様に取消しまたは廃止命令の処分に係る行政手続法の規定による聴聞の通知があ
   った日から当該処分をする日又は処分をしないことを決定する日までの間に一般労働者
   派遣事業又は特定労働者派遣事業の廃止の届出をした者で、当該届出の日から起算して
   5年を経過しなもの
3)2)の通知の日前60日以内に当該法人の役員であった者で、当該届出の日から起算して
   5年を経過しない者
4)暴力団員等でなくなった日から5年を経過しない者
5)暴力団員等が事業活動を支配する者
6)暴力団員等を業務に従事させる者

つまり、不正をはたらき、処分を受け5年を経過していないものはダメ、暴力団員等と関係
するものはダメ、派遣事業から退場してもらいますよ、ということです。

…5年を経過しない者については、労働局の調査力?判断?に委ねるところでしょう。

暴力団員等との関係の有無については判断の難しいところですね。

対策としては、派遣会社と「覚書」などを交わして、実際に暴力団員等と関係があった場合
には、直ちに契約解除できるようにしておくことでしょうか。
ちなみに、弊社は、全お客様との「覚書」等で締結をさせて頂きました(^ .^)y-~~~

改正派遣法施行後、突然派遣会社が撤退し、派遣スタッフを利用できなくなることも予想されるので、他の
派遣会社とも是非、早めに「覚書」等の締結をお勧めします!

あと、今回の法改正とは別ですが、
派遣免許の許可基準をクリアできずに免許更新できない派遣会社が結構あるようです。
実際に、「事業を買い取って欲しい」と今年になって数社問い合わせがあり、ビックリしている次第です。

原因は主に次の2つの許可基準の見直しが関係しているようです。

1)財産的基礎に係る要件(資産要件)が変更になったこと

   ・基準資産額に係る要件について
    「1,000万円×事業所数」から「2,000万円×事業所数」に改めたこと。
    (注)基準資産額=資産額-負債額

   ・現金・預金の額に係る要件について
    「800万円×事業所数」から「1,500万円×事業所数」に改めたこと。

  ・・・リーマンショック以降、経済状況の悪化により、財務体制が弱体化してしまったのでしょう。。。

2)社会保険の加入率(はっきりは分かりませんが、相当高いようです90%以上?)

   ・社会保険に加入させずに労働者派遣をしている派遣会社が散見されたことから規制強化に
    なったようです。更新の届出に行くと、その場でチェックも可能になっているようですっ!!

  ・・・応募者と面接していますと、「派遣社員は社保に入らない」といった誤認をしている人をよく見かけ
    ます。 聞けば、派遣会社からそのような案内をされているそうです。
    社会保険の加入率をチェックするようになったのは、こういった派遣会社を退場させるためなんでしょう。

以上のことに該当すると、派遣免許の更新ができなくなるわけですが、派遣事業を継続している会社もある
ようです。

それは、許認可制の一般派遣事業から、比較的取得しやすい届出制の特定派遣事業に移行して派遣
事業を継続しているのです。

が、実態は、常用雇用して派遣する特定派遣ではなく、登録型派遣(一般派遣)を違法に行なっている
ケースもあるようです。。。

念のため、派遣会社から「派遣事業免許」の提示を求めてみてはいかがでしょうか。
免許Noが、 「般 27-000000」 から 「特 27-000000」のように変わっていたら要注意です!!
免許Noが無ければ、論外です!!

最後に、弊社はといいますと・・・

弊社は、この程6月1日から更新審査を無事通過し、一般派遣事業許可証を頂戴しました(^ε^)-☆
ご安心下さいませ~ 次の更新は5年後です。

次号は、『 専ら派遣の制限 』についてです。

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■改正派遣法のポイント■

(1)派遣法の法律名、目的の改正 ・・・ 「派遣労働者の保護」、「雇用の安定」が明記
(2)派遣元事業主の欠格事由の追加 ・・・ 脱法行為をする派遣会社の排除
(3)専ら派遣の制限 ・・・ 関係会社(グループ会社)への派遣を8割に制限
(4)派遣料金のマージン率公開 ・・・ 派遣料金と賃金との差・マージン率を公開
(5)派遣労働者に派遣料金の公開 ・・・ 雇用時等に派遣料金を派遣労働者に公開
(6)無期雇用への転換推進 ・・・ 有期雇用から無期雇用への雇用条件改善
(7)均衡待遇の確保 ・・・ 同種業務従事者との賃金等の均衡待遇
(8)派遣労働者の福祉の増進 ・・・ 教育訓練等の機会確保
(9)日雇派遣の禁止 ・・・ 日々または30日以内の派遣の原則禁止
(10)離職した労働者の派遣受入禁止 ・・・ 1年以内に離職した従業員の派遣受入禁止
(11)労働契約申込みなし制度 ・・・ 抵触日違反等で労働契約の申込をしたとみなす
     ※(11)は改正法施行後、3年後に施行
(12)その他

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