Vol.130【緊急事態宣言でどうなる?「休業手当」】

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  川相いい仕事マガジン vol.130
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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   川相マガジン   e4510情報 (いい仕事情報)
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今年の4月1日からスタートした派遣法改正。

各企業さまが大変な苦労をして進めスタートしたことが
昔のことのような位、コロナウィルス関連の事柄で溢れています。

緊急事態宣言、休業要請などありますが
各自が手洗い、マスク、3密を避けるなど防止策をとることが重要で

最近はソーシャル・ディスタンシング『社会的距離』
感染拡大を防ぐために最近はいろんなところで人との距離を
意識する取り組みがなされてきています。

今まであまり浸透していないこの言葉が今はよく聞く言葉となりました。
各個人が知ること、意識して行動することで物事が大きく変わります。

早くこの難局が去り、
この大事な言葉さえも忘れる日が来ることを祈ります。

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  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
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   緊急事態宣言でどうなる?「休業手当」
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いつもメルマガをご愛読いただき、
どうもありがとうございます。

労務管理事務所フォージョウハーフで
コンサルティングをしています酒井と申します。

さて、新型コロナウィルスの感染が広がる中、
緊急事態宣言の対象地域が全国に拡大されました。

休業を余儀なくされる会社も多いのではないかと思いますが
この「休業」中の給与の支払いはどう考えたら良いのでしょうか。

今回は、この状況の中
【休業手当の取り扱い】について
取り上げてみようと思います。

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┃労働基準法で義務付けられている「休業手当」
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民法にはノーワーク・ノーペイ(働かなければ賃金は発生しない)
という考え方がありますが労働基準法ではその特則を定めています。

(休業手当)
第二十六条 使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、
使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の
手当を支払わなければならない。

つまり、「休業」が、「使用者の責めに帰すべき事由」の場合には
「休業手当」の支払いが義務付けられているのです。

「使用者の責めに帰すべき事由」あり→休業手当の支払い必要
「使用者の責めに帰すべき事由」なし→休業手当の支払い不要

今回問題になるのは、どういった場合が「使用者の責めにきすべき事由」
にあたるのかです。

個別に見ていこうと思います。

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┃コロナウィルスに感染した人、感染が疑われる人への対応
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【感染した従業員を休業させる場合】

新型コロナウィルスに感染した人には就業禁止を命じ、
休業させる必要があります。

この場合は「休業手当」の支払いは不要です。

しかし、一般的には年次有給休暇の取得を推奨しているケースが
多いように思います。

【感染が疑われる場合】

感染が疑われる場合でも、感染拡大予防のため、
休業させることが望ましいと思われます。

この場合の休業は「使用者の責めにきすべき事由」に該当し、
休業手当の支払いが必要になります。

しかしながら、社員が自主的に年次有給休暇を取得することは
許されますので、年次有給休暇の消化を推奨する企業も多く見られます。

他には、職務の継続が可能な場合は在宅勤務の推奨、または、
将来の休日との振り替え、振替休日として休んでもらう方法があります。

┏━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃緊急事態宣言や、要請や指示を受けて事業を休止した場合
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労働基準法では「不可効力」による休業の場合は、
「使用者の責めにきすべき事由」に該当せず、
使用者に休業手当支払いの義務は無いとしています。

「不可抗力」と言えるには

①その原因が事業の外部より発生した事故であること
②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしても
 なお避けることができない事故であること

という要素をいずれも満たす必要があります。

では、今回の緊急事態宣言は「不可抗力」と言えるのか。
それを判断するのは、政府なのです。

そして、今の時点では、明確な政府の考え方が示されておらず
「一律に休業手当の支払い義務が無くなるものではない」
としか発表されていません。

実際、労働局や労働基準監督署へも、まだ政府からの通達が無いとの事。
今回の今までにない非常事態への対応の難しさが伺えます。

しかし現実には、労働基準法条の休業手当の要否にかかわらず、
従業員の生活・雇用を守る為に休業手当が支払われる事が望ましく、
そのために苦慮されている経営者の方が多いと思います。

そこで検討したいのが、今回大きく報道されている「雇用調整助成金」です。

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┃雇用調整助成金(新型コロナウィルス特例) 受給の要件
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雇用調整助成金は、支払われた「休業手当」に対し
助成金が支給されます。

労働者1人に対し、1日あたり、支払われた休業手当の
5分の4(上限8,330円)が、年間100日まで助成されます。

支給を受ける要件は大きくは次の2つです。

①売上(計画届提出の前月)が前年同月に比べ5%下がっている事。
②休業規模が全労働時間(全従業員の人数☓所定労働日数)の2.5%以上。

②の「休業規模」とは、全従業員に対し、どれくらいの割合の人が、
 どれくらいの時間休業したかです。

休業規模が2.5%以上、とは
従業員数10名/月の所定労働日数20日の会社の場合、
10名 X 20日=200日
200日 X 2.5%=5日

全体で、1月の間に5日分の休業が実施されていれば2.5%を
クリアしています。(1人が5日休んでも、5人が1日休んでもOK)

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┃大幅な拡大措置
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また、4月上旬に、雇用調整助成金(コロナウィルスの特例)
申請の大幅な拡大措置が発表されました。

【主な特例措置の拡大】

●雇用保険被保険者でない労働者も対象に
●6/30まで、遡り申請が可能
●支給限度日数 100日+3ヶ月
●申請書類の大幅な簡略化(記載事項5割削減)
●添付書類削減 等

もともとの雇用調整助成金の申請書類は複雑なのですが
大きく緩和され、非常に申請しやすくなりました。

是非一度、ご検討されてはいかがでしょうか。
(助成金には審査があり、必ずしも受給できるものではありません。
詳しくは、HPやガイドブックでご確認ください)

【詳しくは】
雇用調整助成金
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html

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┃みんなで、コロナを乗り越える
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感染拡大は、予断を許さない状況です。

今は、兎にも角にも感染予防を最優先に、
判断、行動すべき時だと言えるでしょう。

しかし同時に、大きな経済縮小を招くことも予想されます。

そんな中でも、上手に助成金を利用し、休業を、力を蓄える時期と
捉える事は、このピンチを乗り切って行くことにつながるのではないかと
考えます。
 

  労務管理事務所 フォージョウハーフ
  労務コンサルタント 酒井
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  労務管理事務所フォージョウハーフ
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