Vol.85【働く人々】

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  川相いい仕事マガジン vol.85
   発 行:川相商事株式会社
   Kawai Syouji Group
   『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 http://www.e4510.jp/
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 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
 労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
 社労士、日比野の現場紹介—☆★☆
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    働く人々
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いつもメルマガをご愛読いただき、
どうもありがとうございます。

労務管理事務所フォージョウハーフで
コンサルティングをしています野波と申します。

暑い暑いと過ごす中で周りを見回すと、実に色々な人が
働いている事に気が付きます。

新入社員と思われる子とすれ違い、
電話をしながら電車を待つ人、
深くしわの刻まれた職人さんが働いている姿を見かけます。

色々な人とすれ違い、色々な事を思います。

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┃周りの「おじいちゃん、おばあちゃん」
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周りには、バリバリ働いている、
とても65歳以上に見えない人たちがいることに気付きます。

定年退職をした彼らは

「何かがしたい」
「やりたかったことをやりたい」

と言って、働いていたりします。

私の祖父は、定年後、数年嘱託として働いた後、
高年齢者の集まる大学に入学し、
今でもクラブや自治体のイベントに参加をしています。

口癖は、「忙しい、忙しい」。

仕事という方向に行かなかっただけで、
「何かがしたい」「やりたいことがやりたい」
という思いが、強いのだなあと感じ、尊敬しています。

海外に進出して、仕事をしている人に
出会ったこともあります。

厚生労働省の資料によると、65歳以上の雇用者数は、
役員を除いても平成14年には153万人だったのが
平成26年には320万人と2倍以上になっています。

日本の高齢者の就業率は主要国でも最高だと、
総務省も発表しています。

いつも元気でバイタリティ溢れるおじいちゃんおばあちゃんには
頭が上がりません。

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┃変わる高年齢者の雇用保険
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雇用保険法の改正(平成28年3月29日成立)で、
高年齢者の雇用が変化しつつあるようです。

現在、高年齢労働者には
①65歳以前からその会社で働いていた人
②65歳以降に雇用された人

の2つのタイプがあります。
どちらも雇用保険料が控除されていませんが、

①のタイプの高年齢労働者は雇用保険の適用者で、
②のタイプの高年齢労働者は、雇用保険が適用除外されており、
被保険者となることができません。

雇用保険が適用されている高年齢労働者(継続雇用)は、
離職して求職活動をする場合に一度だけ
「高年齢求職者給付金(賃金の50~80%の最大50日分)」を
受けることができます。

65歳以上になると年金の支給が始まるので、65歳以上で就職した場合には
失業保険がなくても、生活に困らないだろうと、適用除外とされたようです。

しかし、
その雇用保険について、平成29年1月1日より適用拡大が行われます。

この改正によって変わるのは、

◆雇用保険適用上限年齢の撤廃

◆離職して求職活動をする場合には、
都度「高年齢求職者給付金」を支給(年金と併用可)

◆65歳以上の被保険者も、介護休業給付、
教育訓練給付などの給付金の支給対象に

◆高年齢者の雇用保険料徴収免除制度の廃止
(平成31年度分までは経過措置、平成32年4月1日より徴収開始)

つまり、65歳以上で新たに雇用される人も
雇用保険の適用対象になり、
「高年齢求職者給付金」以外の給付も受けられるようになるのです。

暫くは雇用保険加入手続きや給与計算などに注意が必要だなあ、
と思いつつも、なぜ、このような雇用保険法の改正があったのか、
考えてみました。

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┃雇用保険拡大の意味するもの
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なぜ、雇用保険の適用が拡大されるのでしょうか?

厚生労働省によると、
65歳以上の高年齢者の雇用者数、求職者数が増加傾向にあり、
高年齢者の希望に応じた雇用を推進するという目的があるようです。

(厚生労働省『「雇用保険法等の一部を改正する法律」の改正内容』
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11600000-Shokugyouanteikyoku/0000123023.pdf

政府の立場から考えると、65歳を超えても働く人を増加させることは、
「破たんしかけている年金の問題の解決するための政策」
となるかもしれません。

会社様の立場から考えると、フレキシブルに働くことができる高年齢労働者が
増えることは、「人手不足の解消」と映るかもしれません。

しかし、この改正は、
元気であれば当たり前に働ける世の中になってきているということを
意味しているように私は思います。

雇用保険は、失業した時の保険として機能してきましたが、
現在では、育児や介護等生活を補助する育児休業給付金や
介護休業給付金等も充実し、時代と共に変遷してきた背景があります。

今回の雇用保険法改正も、時代とともに変遷した結果なのだと思います。

老後の心配を抱きながら生活してきた働き手にとって、
今回の改正は、働くことに対する別の視点を与えてくれるかもしれません。

「一生働ける」
と考えることができるようになります。

そして、そう決め、それを楽しもうとした瞬間に
抱いている老後の不安は解消・軽減されるのではないでしょうか。

75歳で「現役」としていられるのであれば、
65歳で出来ることの可能性が広がります。

職業訓練も受けられるし、高年齢求職者給付金(いうなれば高年齢者向け
失業手当)も、今後は支給されることになります。

皆さまの想像する「75歳の自分」像は、
一体どのような姿でしょうか?

 

  労務管理事務所 フォージョウハーフ
  労務コンサルタント 野波
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