Vol.149【高齢者雇用安定法施行後の現状】
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川相いい仕事マガジン vol.149
発 行:川相商事株式会社
Kawai Syouji Group
『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 https://e4510.jp/
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川相マガジン e4510情報 (いい仕事情報)
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高齢者雇用安定法施行後の現状
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いつもメルマガをご愛読いただき、
どうもありがとうございます。
労務管理事務所フォージョウハーフで
コンサルティングをしています野波と申します。
職業柄、会社訪問することが多いのですが、
そこで活躍している60代、70代、80代の「生涯現役」を体現した、
若手と遜色ない活躍をなさっている方に出会うことがよくあります。
第二次経済成長時代に社会一般に広がり形になった
「定年制度(当時は55歳定年が一般的でしたね)」とは別の制度
(生涯現役制度とでもいうのでしょうか)が台頭してきていると感じます。
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┃2021年、高齢者雇用安定法改正
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2021年の法改正により、③が追記され、以下のように改正されました。
(高齢者雇用安定法 第8条、第9条、第10条の2)
①定年は60歳以上にすること(義務)
②定年延長や継続雇用制度等により65歳までの雇用を確保すること(義務)
③定年延長や継続雇用制度等により70歳までの雇用を確保することが望ましい
(努力義務)
もちろん定年を65歳にしたり、定年を廃止したりする企業様も増えて
きているようですが、定年を60歳のまま、継続雇用制度を65歳までとし、
「定年退職」か「雇用継続」かを選んでもらえるように制度設計を
しているような企業様が多いように感じます。
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┃高齢者雇用安定法改正を皮切りに、変化する諸制度
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それとほぼ同時期に、高齢者雇用を促進するような3つの変更が
厚生労働省から発表されています。
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【雇用保険―高年齢雇用継続給付金の段階的廃止― 2025年4月】
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現在、雇用継続給付として60歳以後の各月の賃金の最大15%
(金額により調整有)が支給されていますが、令和7年(2025年)には、
60歳以後の各月の賃金の最大10%に減額、
その後、廃止となる方針が発表されています。
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【年金支給停止基準額の引き上げ―2022年4月】
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①年金支給停止基準額の引き上げ
60~64歳に支給される特別支給の老齢厚生年金について、
年金支給停止の基準額【賃金+年金月額】が47万円に引き上げられ、
それを超えなければ、年金が支給されるようになります。
②在職定時改定制度の新設
現在、老齢厚生年金の額は、資格喪失時にしか改定されませんが、
来年春以降は65歳以上の在職中の老齢厚生年金受給者の年金額を毎年10月に
改定し、年金額に反映できるような制度になります。
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【雇用保険―マルチジョブホルダー制度の新設―2022年1月】
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65歳以上の方が、2つの勤務先での1週間の所定労働時間が合計して20時間
以上であること(それぞれ週5時間以上20時間未満であること)、それぞれ
の雇用見込みが31日以上であれば、加入資格が得られるという制度です。
副業・兼業の進展により、「1つの勤務先だけでは条件を満たさないが、
複数の勤務先で合計すると条件を満たす」というケースでも、
雇用保険に加入できるようになります。
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┃生涯現役は新しい制度?
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高年齢者の雇用継続。
年金の財源不足、社会保障費の増加と財政状況の逼迫…
こんなことも法改正の背景にあるのかもしれません。
定年退職制度の歴史を簡単に紐解いてみると、
民間の定年退職制度の起源の一つと言われるのは、
日本郵船の社員休職規則(1902年)。
しかし、日本郵船以外の企業に広く定年退職が広まったのは、
高度経済成長期。
つまり、定年制度は現在までの約70~80年の間に広まった比較的新しい
制度とも言えるでしょう。
ということは、70~80年前までは、「○歳くらいになったら引退するのが
相場」というものはなく、自分の体力などを総合的に考えて、人それぞれで
引退時期を決めていたのではないかと想像します。
そう考えると、高齢者雇用は、
古いような、新しいような制度という気もします。
ただ、高年齢者の雇用が延長されることが
採用抑制に影響すると言われます。
「すでに高齢者がいるから若者の採用を控えよう(後回しにしよう)」
ではなく、「高齢者がいるからこそ、若者を採用しよう」となるように
私たちはどうしたらよいのでしょうか。
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┃定年延長と役職定年
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法改正に合わせてただ高年齢雇用を促進すると、
組織の高齢化を引き起こします。
組織が高齢化すると機動力が落ち、ゆっくりと、
組織の力が弱まっていきます。
組織の高齢化問題を打破すべく、
役職定年を設けたいという企業様の話を聞きました。
え?現場上がりの管理職を役職なしにするのは心証的に難しくないか?
モチベーション低下につながらない?
結局は人件費を抑えるため?と思いながら聞いてみたら、
『定年退職の年齢になってから引き継いだのでは、世代交代的には遅いと
思っているので、役職を早めに次世代にバトンタッチするため。
役職定年をしてもらった後は、「部長顧問」のように、指導する側に
回ってほしいと思っているんだ』
『もちろんそんな目的だから、平社員に戻すのではなくて、
教育という役割を担ってもらいたいから、賃金はそのままで考えてるんだ。』
なるほど、組織の高齢化の問題解決、次世代へのバトンタッチのための
役職定年制度、とお考えなのでしょう。
『彼らにも、自分の年齢と役割についてしっかり意識してもらいたいね。
自分の人生のことでもあるからね。』
いやあ、今まで一緒に長いことやってきてるからねえ、と
社長は懐かしそうに笑っていました。
そして、でも時代は待ってくれないからねえ、と付け加えて言いました。
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┃高齢者雇用と若手の雇用
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高齢者雇用の法改正が進んでいますが、
若手が集まらなくて、継続雇用をしているという企業様、
高年齢雇用継続をしているので、若手の雇用が進んでいない企業様、
様々なお話を聞くことがあります。
いずれにせよ、高年齢者の雇用が延長されると、雇用形態を問わず繁忙や
人件費などの諸問題から、採用が抑制・後回しになるということは
少なからずあると思います。
若手と高年齢者の仕事がほとんど変わらず、
代替可能であれば継続雇用が若手の採用の抑制につながり、
若手と高年齢者の仕事が補完的なものであれば、継続雇用の促進は若手の
生産性向上を促進させ、採用の促進につながります。
なかなか難しいことですが、
ベテランがいるから若者の採用を控えよう/後回しにしよう、から
ベテランがいるからこそ、若者を採用しよう、とシフトチェンジするには。
「次世代に技術を送るためにはどんな役割があるのか」
「現役をリタイアしたらどうしたいか、どうするのがいいか」
「役割分担」と「ライフプラン」。
組織と自分の未来について、一緒に考える機会をもっても
いいかもしれません。
労務管理事務所 フォージョウハーフ
労務コンサルタント 野波
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「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
労務管理事務所フォージョウハーフ
【社会保険労務士】日比野大輔
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