Vol.173【所得格差】

◇◆◇===========================◇◆◇
川相いい仕事マガジン vol.173
発 行:川相商事株式会社
Kawai Syouji Group
『働くよろこびを見つけるヒト』創造企業 https://e4510.jp/
◇◆◇===========================◇◆◇

=================================
川相マガジン   e4510情報 (いい仕事情報)
=================================

当社社員が今年10月に行われた特別全国障害者スポーツ大会の水泳競技において、
50m自由形と50mバタフライの2種目で優勝しました。
2022年の同大会でも50m自由形で優勝しており、大会2連覇となります。

仕事と競技生活の両立は大変なはずですが、
仕事も責任感を持ってしっかり取り組んでくれています。
当社員は来年の大会出場も目指すとのこと。

今後も引き続き応援してまいります。

━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
  「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
  労務管理事務所フォージョウハーフの日比野大輔がおくる
  社労士、日比野の現場紹介—☆★☆
──────────────────────────────────

□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
物価高のこの時代に
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
いつもメルマガをご愛読いただき、どうもありがとうございます。
労務管理事務所フォージョウハーフで
コンサルティングをしています野波と申します。

今年の漢字は「税」でした。
物価の上昇や税金の話が毎日のように報道され、SNSでも多くの人が話題にしています。
普段買い物をするときにも、物価の上昇を実感します。

製造・輸送コストや人件費の上昇が物価に反映されているのだろうと思いますが
上がったなぁ、とひしひしと感じます。

今回は、「所得格差」について焦点を当ててみようと思います。

□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
日本の平均所得と中央値
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
2022年の国民生活基礎調査によると、日本の平均所得は約545万円。
もう少し見て見ると、

中央値は、423万円。

ご存じの通り、中央値とは、小さい順に並べたときに真ん中にくる値です。

最も回答が多かったのは「200~300 万円未満」の層。
回答の6割が「500万円未満」だと回答しています。
2000万円超の人は1.4%。

資本主義社会において、
格差が生じるのはその構造上やむを得ないところはあるかもしれません。

賃金の格差について2022年の賃金構造基本統計調査のデータをもとに
ざっくり1カ月換算(12分割)すると、
差が最も大きくなる50代で、大企業の平均月収35万円、小企業は26万円。

今の日本の現実を反映した数字なのではないでしょうか。

ほかにも学歴や性別で平均の金額に差がみられるようです。
https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/chingin/kouzou/z2022/index.html

だからといって性別を変えることは難しく、
今から学歴を上げることは可能ですが、現実的ではないかもしれません。
企業規模も、転職すれば叶うかもしれませんが、
全年齢の63%が転職後の賃金は「変わらない」「減少した」と回答しています。
(厚生労働省 2022雇用動向調査)

私たちは所得格差の前に、なすすべがないのでしょうか。

□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
私たちに未来はないのか?
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
2023年、最低賃金は全国平均で31円の引き上げ。
最低賃金で働いていた場合、フルタイムで21日稼働の人は、
単純計算で月約5,000円、年60,000円の賃金上昇となります。
20年前と比べると、最低賃金はずいぶん上昇しました。

何年も前、当時学生だった私は、何もしなくても、年数を重ねれば
そのぶん給与がゆるやかに増えていくものと思っていました。
しかし、ふたを開けてみると、日本の平均年収は過去10年横ばい
(令和2年版厚生労働白書)。
日本に未来はないのでしょうか。

とある欧米人に、こういわれました。
「給与は上がるものではなく、自分でコントロールできるものだよ」。
とりわけ欧米圏では、自分のスキルを提示し、条件交渉をするのだそうです。
このスタイルは、スキルを発揮できなければ次の契約で条件を見直されます。
解雇が認められる国でよく見られるようです。
(しかし、資本主義の代表国アメリカでの所得格差は世界トップといわれます)

文化や法制度の違いがありますから、
この考え方をそのまま日本に当てはめることは難しいかもしれません。

しかし、彼の言葉は
「自分の給与を上げるだけの努力をしているのか?」
そう問うているような気がして、恥ずかしくなった記憶があります。

スキルアップに焦点を当てると、国は様々な補助金を出していることに気づきます。

例えば、雇用保険には教育訓練給付制度がありますし、
会社が従業員をスキルアップさせるために、「人材開発支援助成金」があります。
ひとり親家庭には自立支援給付金があります。

このような制度がいくつか提供されているのに、
自分のスキルアップのために、行動を起こそうとも思うことができていません。

□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
どこででもやっていける力 ― エンプロイアビリティをつける
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
「残業がない」「仕事がきつくない」「離職率が低い」
まさに、働き方改革で求める働き方に見えますが、「ゆるブラック企業」の特徴だそうです。

なぜゆるブラックなのか。
それは、スキルアップが見込めず、昇給が見込めない。
将来に希望を感じられないからなのだそうです。

裏を返すと、残業があったとしても、多少仕事がきつかったとしても、
スキルアップや昇給が見込めて、
将来に希望を感じられる仕事が求められていると言えるような気もします。

「エンプロイアビリティ(employability)」という言葉をご存じでしょうか。
これは、「雇用されるための能力」を指します。

もっとざっくりいうと、個人の市場価値を指します。
社会人としての基礎力から専門知識や実務能力まで、
これが高い人は、いわゆる「どこででもやっていける」状態ともいえるでしょう。

「給与は上がるものではなく、自分でコントロールできるものだよ」
これは、エンプロイアビリティを高めるという話をしていたのだと気が付きました。

従業員の「エンプロイアビリティ」が上がると、ほかに行ってしまうのではないか?
そんな心配を耳にします。

確かにその側面はあるかもしれませんが、
「ここにいたらもっと成長できる」という環境を作ることができれば、
人材の流出は防ぐことができるのではないかと感じています。

とある会社の社長と話したときにこんなことを言っていました。
「副業はやったらいい。視野が広がる。スキルアップもしたらいい。
他で通用するくらいの力をつけたらいい。
もし、退職することになってもそれは生きる力になるから。
そんなスキルが身に付いていれば、会社にもいいことしかない。」

その会社では売り上げやコストの数字がガラス張りになっており、
毎日数字が共有されています。
自分ができているかできていないかがわかり、
不調なセクションも他からわかるので、声掛けや助け合いが起こっています。
さらに目標管理を実施し、先輩がメンバーの目標達成を支援するフォローアップ。
定期的なキャリアデザイン研修で、
一人一人がこれからのライフプランを考える機会を提供しています。

なるほど、「ここにいれば、スキルアップになる。会社はそれを支援してくれる。」
と思える仕組みがあり、それが離職防止に働いているのではなかろうか。
そんな風に思ったエピソードです。

働きたいと思われる企業の魅力度を
「エンプロイメンタビリティ(employmentability)」と言います。
福利厚生に限らず、従業員のスキルアップの
積極的な支援も魅力度を構成する要素の一つだと思います。

人材不足のこの時代、エンプロイアビリティの高い、能力ある従業員が集まるのは
エンプロイメンタビリティの高い会社であるのではなかろうか。
そんな風に思います。

このように、従業員のエンプロイアビリティと、
企業のエンプロイメンタビリティは、密接な関係にあると思います。

□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□
一人一人にできることは
□■━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━■□

所得格差を嘆いていても税金はきっと下がらないし(下げてほしいと切実に思う)、
私には物価の上昇の押さえ方もわかりません。

ご存じの通り給与の原資は会社の利益であり、
湯水のように湧き出てくるものではありません。
従業員一人一人が戦力となり、会社の利益を作り、そこから給与が支払われます。

できることは、世の中を見つめ、人とのつながりを大切にすることを含めて、
自分のエンプロイアビリティ(どこででもやっていける力)を上げること、
そんな行動を積み上げていくことが大切だと感じます。

行動を変えるには、家庭や生活があればなおのこと相当の負荷がかかることが予想されます。
それでもできる範囲で、できることを重ねていくことが、
格差にあらがう方法の一つなのかもしれません。

そう自分に言い聞かせています。

労務管理事務所 フォージョウハーフ
労務コンサルタント 野波

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 「愛はあるが甘えのない人事が、ヒトと組織を育てる」
 労務管理事務所フォージョウハーフ
 【社会保険労務士】日比野大輔
 【URL】http://www.4jh.jp/
 【E-Mail】support@4jh.jp
 【電 話】06-6945-5550
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

前の記事

Vol.172【求職者状況】

次の記事

Vol.174【社会保障費】